必要な試薬・器具
- RQ フレックス (プラスで無くても良い)
- リフレクトクアント アンモニウムテスト(0.2-7.0mg/l) ※要冷蔵
- アンモニア性窒素標準液(NH4-N又はNH4で1000ppm)
(代用可 硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム等の試薬・特級+100mLメスフラスコ・ビーカ等)
アンモニウムテスト(0.2-7.0mg/l)の測定値結果は温度の影響を受けるため、できるだけ温度変化の少ない部屋で測定を行う。季節により室温が違うので、標準液を同時に測定し、測定結果を補正する。なお、室温が30℃くらいになると、下記のNH4で5mg/L程度の標準液でもHI(7mg/L以上)と表示されることがある(日光の影響もあるので、常にHIになる訳ではない)。
NH4-Nで1000ppmの標準液の場合、250倍に希釈してNH4-N 4mg/L(NH4 5.15mg/L)にする。NH4で1000ppmの場合は200倍に希釈してNH4 5mg/Lにする。
市販品のアンモニア性窒素標準液が無い場合は、100mLメスフラスコに乾燥した硫酸アンモニウム0.472g(あるいは塩化アンモニウム0.382g)を入れ、希釈用の水を標線まで加えて溶かし、NH4-N 1000ppmの標準液とする。これを250倍する。
メスフラスコが無い場合、ビーカ等の容器に希釈用の水を100±0.05g取り、そこに上記の量の試薬を加え、ガラス棒等で撹拌して溶かし、NH4-N 1000ppmの標準液とする。これを250倍する。
・蓋付き小型容器(5~10mL)
希釈試料を入れるもの以外に、 試薬2を溶かすために必要。 |
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場合によっては必要な器具
・遮光用容器
アンモニウムテスト(0.2-7.0mg/l)は光により測定値が影響を受ける。日光が差し込むような部屋で測定を行う場合、測定待ち時間の間、遮光することが望ましい。蛍光灯の光のみでは遮光の必要は無い。 |
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適当な容器が無い場合は、紙コップをアルミホイルで包んで使う。連続測定する場合は、測定点数だけ必要になる。
・ストップウォッチ
連続測定を行う場合に使う。 |
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手順〜通常測定
アンモニウムテスト(0.2-7.0mg/l)は冷蔵保存なので、測定前に冷蔵庫から出して室温に戻しておく。試料、標準液も同様に室温に戻しておく。
RQ フレックス での測定に用いる液量は 5.0±0.1mL(g)である。 「3- (2) 塩酸抽出液の希釈」を参照し、希釈試料を準備しておく。なお、希釈倍率の目安は以下の通りである。
- 牛ふん堆肥: 50倍
- 豚ぷん堆肥・鶏ふん堆肥: 200倍
希釈に使う水は、可能なら脱塩水あるいは蒸留水を使う。入手が困難な場合は、ドラッグストアのベビー用品コーナーにある調乳用の水(ミネラル分を除去した水)を使う。それも入手困難な場合は、市販品のミネラルウォーターや水道水を用いる。その場合、標準液の調整にも同じミネラルウォーター、水道水を使う。
脱塩水・蒸留水 | 市販品の調乳用の水 | 市販品のペットボトル入り ミネラルウォーター | 水道水 |
---|---|---|---|
○ | ○ | ○ | ○ |
希釈に使った水、希釈した標準液は5.0±0.1mL(g)測定用容器に入れ(反復を取ることが望ましい)、希釈試料と同様に測定する。
試薬NH4-2は粉末であり、常に同量を加えることが困難である。NH4-2の量により測定結果がばらつくため、あらかじめNH4-2を水に溶かし、水溶液として加える。
NH4-2溶液はNH4-2粉末1.0gに対して水を3.0±0.1mL(g)加えて作成する。容器は測定用の小型容器でよい。1試料当りの添加量は 0.30±0.01mL(0.37g: 0.36〜0.38g)である。溶液は長期保存できないので、測定当日に必要量だけ調整する。試料と標準液の数に加え、HI になった場合の再測定も考慮し少し多目に作っておく。
手順は以下の通り 本体のON/OFFボタンを押し電源を入れる ↓ 付属のバーコードを入れる 3桁の数値が表示される ↓ ・数値が表示されたら、すぐにバーコードを抜き取っても良い STARTボタンを押し測定スタンバイにする 480secと表示される ↓ 希釈試料に試薬NH4-1を正確に10滴入れる ↓ 蓋をして振り混ぜる ↓ 希釈試料に試薬NH4-2溶液を正確に0.30±0.01mL入れる ↓ ・重量法の場合、0.36〜0.38g入れる 蓋をして振り混ぜる ↓ 試験紙容器から試験紙を1枚すばやく取り出し、容器の蓋を閉める ↓ 試験紙を希釈試料に浸すと同時にSTARTボタンを押す ・ちゃんと測定待ち時間が表示されているか ↓ 確認してから試験紙を浸す 遮光が必要な場合は遮光用容器をかぶせる ・試験紙を溶液に浸したままの状態で待つ ↓ ・待ち時間の間に、一度、(遮光用容器を取り)試験紙で溶液をかき混ぜる 表示が15sec(残り15秒)くらいになったら遮光用容器を外す ↓ 表示が10sec(残り10秒)になったら試験紙を取り出す ↓ ・慣れない間は少し早めに行っても良い 余分な液を横や裏からティッシュペーパー等に吸わせる 試験紙を測定部位に挟む ↓ 表示が5sec(残り5秒)になったらアラームが連続で鳴り続ける ↓ 表示が0secになるとアラームの後に測定値が表示される ↓ 測定値を書き取る ↓ 測定部位から試験紙を取り出す ↓ TEST、STARTの順にボタンを押して測定スタンバイにする ↓ 次の希釈試料に試薬を加え、この要領で順次測定を行う ↓ 測定が終わったらON/OFFボタンで電源を切る バーコードの抜き取りは忘れないこと
- 測定値が HI の場合希釈倍率を上げて再度測定する。牛ふん堆肥では 200倍を、豚・鶏ふん堆肥では500倍を目安とする。
- 測定値が LO の場合、牛ふん堆肥では再測定不要(アンモニア態窒素量0.1kg/t以下)、豚・鶏ふん堆肥でもアンモニア態窒素量0.3kg/t以下であるが、数値を出したい場合は希釈倍率を50倍まで下げて再度測定する。
- アダプターは水又はエタノールで洗浄しておく。
- 試験紙は地域のプラスチックごみの処理方法に準じて処分する。
- 廃液はアルカリ性(pH11〜11.5)なので、塩酸等で中和して処分する。ただし、酸性にすると有毒な塩素ガスが発生するので、pH試験紙等で確認しながら中和する。
連続測定
測定待ち時間は480秒(8分間)なので、ストップウォッチを準備して連続的に測定を行うと効率的である。
NH4-1を加えて混合した後30分程度放置しても測定結果に影響は無いが、NH4-2溶液を加えた後は素早く混合し試験紙を入れないと測定結果に影響するため、一度に測定する希釈試料全てにNH4-1を加えて混合し、ストップウォッチ等の準備をした後にNH4-2溶液を加え、試験紙を入れる。
ピペッターを使う場合、NH4-2溶液を加え混合し試験紙を入れるまで30秒あれば十分なので、測定間隔は30秒にする。その場合、一人で一度に行える点数は最大16点になる。遮光用容器を使う場合、点数分の容器とそれを置く場所が必要になるので、注意する。
秤を使って重量を見ながらNH4-2溶液を加える場合、作業に30秒以上必要なので、測定間隔は1分を目安にする。その場合、一人で一度に行える点数は8点である。あらかじめNH4-2溶液を何滴加えると0.36〜0.38gになるか確認しておくと良い。
手順は以下の通り 一度に測定する希釈試料全てに試薬NH4-1を正確に10滴入れる ↓ 蓋をして振り混ぜる ↓ 本体のON/OFFボタンを押し電源を入れる ↓ 付属のバーコードを入れる 3桁の数値が表示される ↓ ・数値が表示されたら、すぐにバーコードを抜き取っても良い STARTボタンを押し測定スタンバイにする 480secと表示される ↓ 希釈試料に試薬NH4-2溶液を正確に0.30±0.01mL入れる ↓ ・重量法の場合、0.36〜0.38g入れる 蓋をして振り混ぜる ↓ 試験紙容器から試験紙を1枚すばやく取り出し、容器の蓋を閉める ↓ 試験紙を希釈試料に浸すと同時にSTARTボタン、 ストップウォッチのボタンを押す ↓ 測定待ち時間が減り始める ↓ 遮光が必要な場合は遮光用容器をかぶせる ↓ ・試験紙を溶液に浸したままの状態で待つ 次の希釈試料にNH4-2溶液を正確に0.30±0.01mL入れる ↓ ・重量法の場合、0.36〜0.38g入れる 蓋をして振り混ぜる ↓ 試験紙容器から試験紙を1枚すばやく取り出し、容器の蓋を閉める ↓ ストップウォッチ表示が30秒になったら 試験紙を希釈試料に浸す ↓ ・重量法の場合は1分になったら 遮光が必要な場合は遮光用容器をかぶせる ↓ 次の希釈試料にNH4-2溶液を正確に0.30±0.01mL入れる ↓ ・重量法の場合、0.36〜0.38g入れる 蓋をして振り混ぜる ↓ 試験紙容器から試験紙を1枚すばやく取り出し、容器の蓋を閉める ↓ ストップウォッチ表示が1分になったら 試験紙を希釈試料に浸す ・重量法の場合は2分になったら ・30秒ごとのこの操作を最後試料(最大16点目・450秒=7分30秒)まで行う ・重量法の場合は1分ごとで最大8点(420秒=7分)まで ・余裕が出来たら、一度、(遮光用容器を取り)試験紙で溶液をかき混ぜる ↓ 表示が15sec(残り15秒)くらいになったら遮光用容器を外す ↓ 表示が10sec(残り10秒)になったら試験紙を取り出す ↓ ・慣れない間は少し早めに行っても良い 余分な液を横や裏からティッシュペーパー等に吸わせる 試験紙を測定部位に挟む ↓ 表示が5sec(残り5秒)になったらアラームが連続で鳴り続ける ↓ 表示が0secになるとアラームの後に測定値が表示される この時、ストップウォッチの表示は8分 ↓ 測定値を書き取る ↓ 測定部位から試験紙を取り出す ・8分15秒くらいまで待ってから行う ↓ ・重量法の場合は8分45秒くらいまで待ってから 遮光用容器を外して次の試験紙を取り出し、 余分な液をティッシュペーパー等に吸わせてから測定部位に挟む ↓ ストップウォッチの表示が8分30秒になったらSTARTボタンを押す ・重量法の場合は9分 ・間違えてTESTボタン、ON/OFFボタン ↓ を押さないように気を付ける 測定値が表示されるので書き取る ↓ 測定部位から試験紙を取り出す ・8分45秒くらいまで待ってから行う ↓ ・重量法の場合は9分45秒くらいまで待ってから 遮光用容器を外して次の試験紙を取り出し、 余分な液をティッシュペーパー等に吸わせてから測定部位に挟む ↓ ストップウォッチの表示が9分になったら STARTボタンを押す ↓ ・重量法の場合は10分 測定値が表示されるので書き取る ↓ 測定部位から試験紙を取り出す ・30秒ごとのこの操作を最後の試料(最大16点・450+480秒=15分30秒)まで行う ・重量法の場合は1分ごとで最大8点(420+480秒=15分)まで
測定値は、標準液の測定結果を元に補正する。 希釈に使った水の測定(平均)値: a 標準液の測定(平均)値: b 標準液の濃度: c(NH4-N 1000ppmの250倍希釈: 5.15、NH4 1000ppmの200倍希釈: 5) 補正値 = (測定値 - a) x c ÷ (b - a) 堆肥現物中のアンモニア態窒素量(kg/t)への変換は 3-(9) を参照。
目次
- 1. 試料の準備と水分量・粗灰分
- (1) 試料の準備
- (2) 水分(乾物率)
- (3) 粗灰分(通常不要)
- 2. RQフレックスの使い方
- 3. 無機成分分析
(速効性肥料成分) - (1) 0.5M塩酸抽出
- (2) 塩酸抽出液の希釈
- (3) アンモニアの測定
- (4) 硝酸の測定
- (5) リン酸の測定
- (6) カリウムの測定
- (7) カルシウムの測定
- (8) マグネシウムの測定
- (9) 堆肥中の成分量の算出
- 4. 簡易デタージェント分析
(緩効性窒素) - (1) 手順の概略
- (2) 0.2AD液での抽出処理
- (3) AD可溶有機物量の簡易推定
(パックテスト) - (4) AD可溶有機物量の簡易測定
(過マンガン酸カリウム滴定) - (5) AD可溶窒素の測定
- (6) 近赤外分光法によるAD可
溶有機物・AD可溶窒素の推定 - 5. 分析値の利用