風乾物

均一になっている風乾物は、分析前に行う作業は無い。そのまま分析に用いる。 均一な鶏ふん堆肥

大きな塊がある場合や、不均一な場合、調理用ミル等を用いて粉砕し、均一にしてから分析に用いる。塊が大きすぎるとミルの刃が空回りすることがあるので、あらかじめ乳鉢である程度砕いてからミルにかける。

必要な器具

  • 調理用ミル、乳鉢
  • 薬さじ(代用可 カレースプーン)

調理用ミル 乳鉢

薬さじ スプーン

手順

粉砕前 粉砕後
牛ふん堆肥・粉砕前 牛ふん堆肥・粉砕後
豚ぷん堆肥・粉砕前 豚ぷん堆肥・粉砕後

現物

乾燥させていない堆肥では、水分は50%程度である。そのような堆肥は、ビニール袋に取り、手でもみほくして塊を崩し、振り混ぜて均一にする。硬い固形物が含まれる場合は、乳鉢で粉砕した後、ビニール袋に取って振り混ぜる。

必要な器具

  • 薬さじ(代用可 カレースプーン)
  • ビニール袋(20cm × 30cm 程度の大きさ)

薬さじ スプーン

手順

混合前 混合後
岩手牛ふん堆肥・混合前 岩手牛ふん堆肥・混合後

非常に水分が多い場合

家畜ふん堆肥の中には、水分が 70%を越えるようなものがある。そのような試料では、少量の試料を均一に取ることが難しい。そのため、試料の分取量を増やす。

水分量の多い堆肥

手順


※堆肥のサンプリング

堆肥舎等で積み上げられている堆肥は、非常に不均一である。その場合、乾燥している表面を除いて数ヶ所から試料を採取して混合した後、その一部を分取する。

堆肥舎に積み上げられている様子

分析への供試

無機成分分析(速効性肥料成分)

無機成分分析(速効性肥料成分)の分析には、試料を10g用いる。必ず圃場に散布する性状(現物)で分析を行う。

家畜ふん堆肥の中には、水分量が 70%を越えるようなものがある。そのような試料では、少量の試料を均一に取ることが難しい。そのため、試料の分取量を20gに増やす。

簡易デタージェント分析(緩効性窒素)

簡易デタージェント分析(緩効性窒素)で使う試料は、乾物1.5g(密閉縦型方式の豚ぷん堆肥では0.75g)相当量である。分析に用いる試料の量が少ないため、より均一にする必要がある。

風乾物を分析に使用することが望ましいが、十分均一であれば現物でも構わない。水分量が多すぎたり、塊り等で均一化できない場合は、試料を風乾しミル等で粉砕してから分析に用いる。

なお、堆肥によっては無機成分中のアンモニアとデタージェント抽出で測定するAD可溶窒素両方の値を使って速効性窒素・緩効性窒素量を計算する。デタージェント抽出に風乾粉砕物を用いると、乾燥により一部のアンモニアが揮散しているため、誤差が生じる場合がある。そのため、より正確な値が欲しい時は、風乾物のアンモニア態窒素も同時に測定し、次のように補正する。

正確なAD可溶窒素=風乾物のAD可溶窒素
                  +現物中アンモニア態窒素−風乾物中アンモニア態窒素(すべて乾物あたり)